国・公団・県:水位に関する基礎資料として、パワーポイントと資料―7の説明を行う。 |
植田: |
水位管理の影響に対する対応と、今後の管理に向けてについて、今後の展開の概要を伺いたい。 |
前村: |
河川整備計画を今後検討していく上で、意見交換会での意見、提案は必要に応じて盛り込んでいきたいと考えている。
自然再生法などの自然を復元する事業については、霞ヶ浦は広いため、どこで何をやるかは現在模索中である。 |
山根: |
水道の需要がこれから増加するであろうという説明があったが、その根拠を教えてほしい。工業用水道事業のグラフを見ると、許可量が実績取水量よりもかなり多くゆとりがあるように読みとれる、余り分をどう考えているのか説明してほしい。 |
根本(雅):平成12年12月に茨城県の長期総合計画の中で人口フレームを下方 |
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修正し、従来の400万人を323万人に修正した。この上位計画に沿って平成14年3月に水のマスタープランを策定した。
水のマスタープランでは、地下水から水道水への転換・核家族化や水洗化による一人当たりの使用水量の増加などの増える要因と、人口の減少などの減る要因を加味し水需要を想定している。
需給バランスからすると、このまま水資源開発を進めて行った場合、余剰水が県全体で毎秒5.1トン発生する。このため霞ヶ浦導水で開発水量を3.5トン削減し、鹿島の工業用水の余剰水を水道用水に転換することを進めている。 |
木村: |
霞ヶ浦用水事業の進捗率を教えてほしい。 |
根本(均):20,000ha中6400haが整備済みである。未整備地については基幹部の |
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整備は完了しており、現在、末端部の整備を実施している。 |
高村: |
農業用水の、許可水利権量と実績取水量の差が非常に大きいが、循環利用や反復利用の結果と見るのか。また、示された許可水利権量は慣行的な水利権なのか |
根本(均):示した許可水利権は新規開発の水である。 |
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霞ヶ浦用水事業の進捗率でも説明した通り末端の整備が遅れていること、許可水利権は10年に一回程度の渇水を考慮した許可量である事から、許可水利権量と実績取水量に差が生じている。 |
佐藤: |
湖岸周辺の水田が水位の上昇によって受けるいろいろな被害あるいは不都合が発生している、できればY.P. 1.2m以下の水位が望ましい。 |
岩波: |
社会の構造の変化ということを踏まえて、新しい時代の状況を踏まえた水位のシミュレーションというようなことをやって、これからのあり方を示してほしい。 |
植田: |
議論をするためには官側の持っている条件・データをまず出す事。
生物に対応するための水位の管理は、今までのダム的な管理ではだめで、もっといろいろな知恵を出して行かなくてはならない。 |
高村: |
自然科学の技術はいつも得る物と失う物がある。塩害防止、治水、利水のために霞ヶ浦は何を失ったか、総括をさらに深めながら話しを進めて欲しい。
健全な生態系の考え方は人それぞれ多様であるから、いろんな意見を出し合って賢い利用の方法を求めていく事が重要。そのためには、モニタリングが重要となる |
アラキ:岩波さんの資料の(5)にある水田に貯水機能を持たせることについて、 |
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計画等があれば具体的な話を伺いたい。 |
根本(均):水利権の問題で冬場に水田を貯水施設として利用するのは、 |
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現段階では困難である。 |
浜田: |
漁師は魚が捕れなくて困っている。原因は水位管理である。魚道の整備、魚が上がる水門管理・水位管理をすぐ行って欲しい。
水位管理の影響を明らかにし科学的根拠に基づいて対策を行う事が必要、将来は、今の水需要のあり方を完全に見直して水門を完全に開ける事を頭に一歩を踏み出す事が必要。 |
山根: |
植生を守ということあるいは湖岸植生を保全するためには、自然に近い水位管理が健全な生態系を生む。それをしない理由は水需要であるから水需要を考え直す必要がある。 |
吉田: |
水位は動いていた方が釣りには良いと思うが社会生活の方が重要と考える。
現在、アシ原を増やしアシを守るためゴミ拾いを実施しており、これにより生物が生息できる場所を確保したい、 |
事務局:7名の方から話題提供を頂きましたが、このほか3名の方から話題提供資料を |
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頂いておりますので。事務局より要旨を説明する。 |
小貫: |
漁業が存続しなくては霞ヶ浦もだめになってしまう。
漁業にとっては自然に近い状態で管理してほしい。具体的には変化のあるYP1.1mを中心とした水位管理をされたい |
磯山: |
沼沢さんの資料に消波ブロックのことが書いてある。麻生町では、現在消波ブロックを整備しているが、それは水位をあげるための準備なのか。 |
前村: |
現在整備している消波ブロックは、水位をあげる準備ではない。治水対策として越波への対応として整備している。 |
市村: |
冬期水位は今後上げるのか、現在上げているのか教えて欲しい。また、ワカサギが減っているのはブラックバスが食べてしまったことだけが原因ではなく、魚の生息環境であるアシハラが減少していることも原因だと思う。冬季に水位を上げるのはアシ原に対して非常によくないと思う。 |
座長: |
冬場に水位を上げる必要性、上げなくてすむ方法はあるのか。 |
前村: |
平成8年度以降、冬季に水位を上げて植生の減少に気づいたため、なんらかの対応をとらなれければならないと考え、平成12,13年度はY.P.1.1mで水位管理を行っている。今後の試験運用では気象などの自然現象を利用して、長期間上げることはしないが短期的に自然に近い水位管理をするということはある。40年前の自然の水位変動にはもどせない。水利用に余裕があるうちに、運用試験を行い今後の対策を模索したい。 |
鈴木: |
山根さんから水が余っているとのお話があったが、鹿行広域水道用水供給事業は15年6月から給水区域が拡大するためかなりの水量がアップする。
実績取水量と許可量のグラフは日平均もしくは月平均で作成されていると思うが、実際の需要は最大値で発生するので日最大流量でグラフを作成すれば、実績取水量と許可量の差は少なくなる。
水位が下がると塩分濃度の上昇が危惧される、塩分はトリハロメタンを発生させる原因にもなる |
高村: |
塩素イオンがトリハロメタンの原因というのは誤解を生む。塩素処理を行うときに出てくるのがトリハロメタンの主要因である。 |
鈴木: |
トリハロメタンにはブロム系とクロム系の2種類があり、ブロム系は海水に起因する。 |
木村: |
ここ5年は水需要が減少している。すべて霞ヶ浦から水を取らなければならないという考え方には反対である。地下水が利用できる地域は地下水で良いと思う。霞ヶ浦への負荷を軽減する対策を考えてほしい。
試験運用は必要ないと思う。植生へのダメージは確実にあるので回避すべきだ。
3月中に水位を1.1mに下げてしまうのに、なぜ夏季の渇水に対して1.3mなければならないのか。 |
根本(雅):地下水も有効に活用できればという考え方もある。但し、一部の |
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地域では地盤沈下が起きていたり、保健所の水質検査で不適合になることがあり、地下水への全面的な依存は考えづらい。将来的に水需要が増加した場合を想定して水位管理を検討しておく必要があると考えている。 |
前村: |
昭和33年の降雨が少なかった年でも3月に1.3mを確保しておけば、水需要は満足できる計画である。1.3から1.1へは取水により自然に水位が下がる。 |
座長: |
3月頭にY.P.1.3mあれば、昭和33年位の渇水が起きたとしてもなんとかなるということか。 |
前村: |
そういうこと |
遠藤: |
水公団の立場は、水量を確保する事、そのために1.3で管理することが約束事である。水需要が発生したとき水位を1.3で管理しても生態系に配慮できるよう、水の供給と霞ヶ浦の周辺環境を共存させていくための水位運用試験の検討をしていきたい。 |
村山: |
水位管理の中で上流部山地の雪の量を考慮しているのか。
常陸川水門は、上から閉じる水門で、高村氏の資料のように常陸川の河床を上昇したり、可動堰などでは塩水の遡上を防げないのか。常陸川水門はダムの運用の仕方により逆流型洪水を防げるのではないのか。 |
座長: |
総合開発事業で那珂川の上流の雪解け水をもってくるなどは考えているのか。 |
前村: |
霞ヶ浦では上流山地の雪は考慮していない。霞ヶ浦開発事業の中では那珂川などから水をもってくることは考えていない。 |
前村: |
常陸川水門のゲートは昭和38年に整備されたもので、全閉か全開のみしか出来ないが、利根川河口堰は、上下2段ゲートで様々な運用が出来る。将来、水門が老朽化した時には様々な検討をした上で改築するが、今すぐに改築することは考えていない。河床を上昇させることは、計画に沿って河動掘削・拡幅してきたものなので、治水上困難である。 |
座長: |
常陸川水門の改築時には魚道や可動堰が検討されるのですか |
前村: |
魚道や可動堰は当然検討される |
木村: |
渇水に備えて3月上旬まではY.P.1.3mにしておくとの説明があったが、3月下旬にY.P.1.1mにしているのだから、冬場もY.P.1.1mで何が問題なのか。
水需要は現況を踏まえた上での水量予測になっていないのでは。工業用水の成長率については導水事業に対しての理由付けである。地下水の利用等も含めて再検討が必要だと思う。 |
山根: |
遠藤さんのコメントで、水位はY.P.1.3mで管理する約束になっているとのことであったが、それは誰に対しての約束なのか。現在は約束を守っていないが勘弁してもらっているとの説明なのか。もしそうなのであれば開発事業の43t/sというものを見直すべきではないか、変更できないのか。共存という話の中で、漁業への影響はどのように考えているのか。自然に近い水位とは、冬場に水位が下がるというのをイメージしている。 |
前村: |
3月にY.P.1.3mないと昭和33年のような渇水があると水位は0を下まわり夏場には水が使用できなくなってしまう。 |
遠藤: |
資料7P40を見ると、8月にY.P.0.72m位まで下がっている。これは台風が来たおかげでY.P.0.72mで済んだが、台風が来なかったらもっと下がって取水制限等の問題が起こっていたであろう。
約束事とは、各省庁にまたがった協議の上で霞ヶ浦開発事業の計画が決められ、YP1.3mで水を確保しなければならないことになっているということ。 |
座長: |
工事事務所、水公団は、閣議決定で決まったことを実施しているだけではないのか。 |
遠藤: |
そうです。 |
座長: |
逆を言うと、事務所、水公団は約束したから、何か簡単にできるという立場にない。 |
浜田: |
水位を上げるのをやめるため、利用下限水位であるY.P.0.0mの見直しはできないのか。ワカサギが激減しており、水資源開発の総合的な見直しが必要ではないか。 |
前村: |
計画の根本的なもので、様々な施設をY.P.0.0mを基準として整備している。 |
座長: |
利用下限水位であるY.P.0.0mは、計画の根本なので事務所を非難しても仕方の無いことでしょう。 |
植田: |
参加者と目線がずれていないか。行政が言っているダム管理の為の水位の指標では、魚類などの生物に対して議論できない。 |
遠藤: |
湖岸の動植物の環境保全などを守っていくことは我々の使命である。試験運用についてもこの意見交換会での意見を伺って検討していきたい。 |
タテオカ:昭和33年及び38年の渇水は何年に一度起こりうるものなのか。 |
前村: |
10年に一度です。 |
タテオカ:つくば市に住んでおり、霞ヶ浦の水を利用しているが、10年に |
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一度水が利用できなくなるということがあると困る。湖岸の植生帯の回復等はトータル的なコストに対して見合うものなのかというのが重要であると思う。 |
○○: |
霞ヶ浦はもともと汽水湖であると思うが、汽水湖に戻すというようなことは検討しているのか。 |
前村: |
飲み水が足りなくなり、流域の水利用が成り立たなくなる。 |
○○: |
塩水を飲み水に出来ないのか。 |
前村: |
水道料金を10倍いただくような話になってしまうと思う。 |
鈴木: |
霞ヶ浦開発を始めたころ、工業用水や飲み水を供給するため、湖内で淡水を取水できる場所を探したが非常に少なく、長い年月をかけ、ようやく淡水化が完成してきた。 |
塚本: |
霞ヶ浦は広いので上流の住民、下流の住民では意見が違うと思う。ぜひ潮来でも意見交換会を開催してほしい。住民のみなさんの意見は冬季の水位管理に反対で、行政はその正当性を説明している図式であったが、意見交換会での意見はどのような形で反映していくのか明確にしてほしい。 |
座長: |
法律は法律として決定しているものだが、運用については行政に対し意見していき、それを受け入れる用意は事務所にあると思う。 |
前村: |
現在の1.1の水位管理は暫定的な運用なので、いつまでも暫定運用とはいかない。試験運用を行って模索していかなくてはならない。 |
座長: |
冬季の水位は下げろとの意見があったが、試験運用についてはどういう経緯で進めていくのか。 |
前村: |
平成15年10月15日に向け、本日の意見を踏まえ、モニタリング調査などを検討し、専門家の意見を伺いながら、8,9月頃の意見交換会でもう一度議論していただきたい。 |
座長: |
次回のテーマは生態系となっている。生態系には水位も絡んでくるので、気持ちとしては次回に続く部分もあると思うが、決まりとしては1テーマ1回ですので水位の問題についてはこれで終了とします。 |