霞ヶ浦意見交換会

未来を見据えた取り組み


第6回霞ヶ浦意見交換会 議事要旨

日時:平成15年9月13日
場所:東町農村環境改善センター
参加者数:141名(座長、発言依頼者、話題提供者、行政含む)
議題:「産業・観光」について

参加者名簿(座長、発言依頼者、話題提供者、行政)
 
名前
所属
座長 前田 修 富士常葉大学教授(湖沼生態学)




磯山 正子
大川 幸一
小貫 勉
方波見和夫
勝田 達也
栗山 勲
黒田 久雄
郡司 久
鈴木 正光
濱田 文男
麻生町家庭排水浄化推進協議会会長
(社)霞ヶ浦市民協会
霞ヶ浦漁業協同組合連合会総括主任
きたうら広域漁業協同組合代表理事組合長
(社)土浦青年会議所理事長
霞ヶ浦開発事業連絡調整代表者会議
霞ヶ浦研究会
(財)霞ヶ浦水質浄化推進振興財団事務局長
茨城県企業局工務課長
湖岸住民の会代表




岩波 嶺雄
沼澤 篤
舟木 賢徳
村山 昭一郎
山根 幸美
吉田 幸二
常陽新聞新社
茨城県 環境アドバイザー
舟木環境経済政策研究所
土浦商工会議所観光部会長

ワールドバスソサエティー

前村 良雄
海野 富夫
岡田 久司
中里 修三
加藤 弘道
大垣 茂
遠藤 信夫

国土交通省関東地方整備局霞ヶ浦河川事務所
茨城県企画部
茨城県生活環境部
茨城県商工労働部
茨城県農林水産部
茨城県農林水産部
水資源開発公団霞ヶ浦開発総合管理所

以下は主な議事

第5回.意見交換会議事結果の報告
事務局: 第5回意見交換会 議事要旨、アンケート集計結果、水質に関する意見・疑問への回答(資料-6)について、説明を行う。
座長: 詳細な資料は後でみていただくことにして、議事を進めます。

産業・観光に関する基礎資料について
国・県: 産業・観光に関する基礎資料として、パワーポイントによる説明を行う。

産業・観光に関する話題提供
座長: 本日の話題提供者11人による意見発表をしていただきます。
1人5分間の時間を厳守して手際よくお願いします。
岩波: 琵琶湖では環境保全を基にし、色々な産業間の異業種交流会があり、会議の際に、お互いを巡るようなエコツアー的なものを実施しているようです。霞ヶ浦でも環境保全への取り組みから、人と人との触れ合いを継続的なものにし、この活動を新たな観光として、霞ヶ浦発で提案したらどうかと思います。
さらに、そういった観光に、筑波の科学技術、阿見の予科練から戦争と平和を考え、環境の保全を考えるなどを加え、体験型や滞在型などへ切り替えて、厚みを加える工夫が必要であると考えます。
大川: 霞ヶ浦市民協会では「水辺交流プロジェクト」を推進しており、「霞ヶ浦で泳げる浜を作ろう」という構想があり、自然の浜や、多自然型堤防を活かした浜を見るツアーなどもやっております。このような活動をするきっかけは、第8回世界湖沼会議が開催されたコペンハーゲンで、観光施設を回るのに、優先的に自転車を使用するなど、観光と環境は非常にマッチし、魅力的であることを実感したからです。霞ヶ浦でもエポルカつくば国際会議場、霞ヶ浦環境センター、予科練記念館とともに自転車道路などができてくれば、観光と環境がマッチすると思います。また、観光とは地元の文化、歴史、景観などに触れることと、地域と人との触れ合いが大事であると思います。我々が郷土の霞ヶ浦を愛する心で自然を再生、生態系を回復し、水質の改善への啓蒙や理解が深まり、それをネットワークしていくことが重要であると考えます。
方波見: 霞ヶ浦漁協と北浦漁民が初めて共同で逆水門への魚道の設置を県知事や国に陳情しています。これは逆水門の閉鎖、前浜消失、植生消失などから将来の漁業を危惧しているためです。魚道の設置はセイゴ、アユ、シラスウナギなどの遡上及び水交換に寄与すると考えています。また、前浜は魚の産卵場、隠れ場として有効であり、前浜の植生は水質改善に役立つと思いますので、みなさんのご協力をお願いします。
勝田: クラスター形成による新産業創出を提案したいと思います。具体的には各企業の中核能力を活用し、異業種の連携、行政、産、官、学、民間が一体となって産業クラスターを形成し、地域経済の活性化を巻き起こす必要があると思います。例えば日本一の生産高を誇るレンコンを例にとると、今までのレンコン単独の開発ではなく、筑波大学、独立行政法人、市役所、商工会議所等などが連携し、かつ箱製造、ラベルデザイン、おみやげ・物産品店、飲食店、ホテルなど関連事業、企業が有機的に結びつくことで全国のトップレベルとなるものを生み出せる可能性があります。
 もう一つの提案としては、土浦港をポートタウンへと変化させるというものです。これまでのマイスイメージを改善するためには、アメニティーの向上や、他施設との湖上交通による連携も検討し、可能であるなら川口運動公園を移設し、ベイサイドマリーナのような商業施設の誘致も考えられると思います。
 さらに、スローソサエティーが生み出す観光という視点で「環境への負荷を最小にしたライフスタイルへの転換」という考え方と共に、「全ての世代を対象にした環境教育を学べるフィールド」として、スローフードの提供、スローライフの実践をしながら、環境教育を学べる、地域に根ざした独自のカリキュラムの作成、体験、実践などが考えられます。
栗山: ここは洪水の常襲地帯であったが、先人たちの苦労によって、茨城でも有数と言われる穀倉地帯に変貌しました。現在、農家は自らの責任において、安全で安心できるおいしい米作りをする必要があります。この状況下において、重要なのはきれいな水です。我々農業者は、田んぼから窒素とリンが、そんなに流出しないよう化学肥料多投型農業から循環型農業へ、収量重視から品質重視の農業へと啓蒙運動を展開中です。また、霞ヶ浦が浅いことから汚濁発生につながりやすいので、夏場の水位を上げないのであればヘドロ浚渫工事を強力に推進して欲しいと考えます。また、生活雑排水は農業集落排水事業や公共下水道事業の推進で処理が進められ改善されているが、経費がかかるため事業に未加入者が多いので、補助、融資の改善などの支援が必要と思います。さらに、水辺の整備という視点から水に親しむ農村社会の構築が重要であると考えられます。
黒田: 個人としてこの意見を述べさせていただきます。霞ヶ浦周辺の産業として農業の占める割合が大変大きく、水田の水質浄化機能に注目しています。しかし現在耕作放棄田が多く、約40%ぐらいの田に水が入っておりません。この点から、流域の消費者たちに霞ヶ浦流域のお米をカロリーの10%でも20%でも上乗せして召し上がっていただきたい。そうすることによって、休耕田や耕作放棄田が無くなることにより水質浄化が推進され、将来の生態系回復に大きな期待が持てます。また、谷津田は農業的には効率が悪く作業がしづらい箇所でありますが、生物学的にはエコトーンと呼ばれ、生物多様性に優れているところです。ここにはできれば、都市生活者がグリーンツーリズムによって来て頂き、水田で農業を実践してもらいおいしいお米を持って帰ってもらいたいと思います。現在霞ヶ浦は海外から入ってくる窒素を捨てているだけなので、流域の中で農業、漁業、林業とがうまく循環できるような方策を検討し、霞ヶ浦をきれいにしていく必要があります。
沼澤: 水質改善とともに霞ヶ浦の景観を大切にすることが重要であると考えます。具体的には、近年観光客はバーベキュー、釣り人などを中心に増加傾向にありますが、水辺の景観からみると人工化が進んできています。そこで、景観の一つの指標として、映画のロケ地に霞ヶ浦を売り込んでいくことが重要であると思います。現在は県庁でフィルムコミッションを設立しているようですが、霞ヶ浦では余り実績がありません。今後、霞ヶ浦を映画のロケ地にし、全国へ紹介してもらい、もう少し人を呼べないか、また、人工的な景観の解消には、比較的大きな人工ビーチの整備を提案したいと思います。泳がなくても甲羅干しができるビーチを複数、駐車場付で整備すれば、相当の人気スポットとなるでしょう。また、観光地引網などの実施も魅力があります。
舟木: 霞ヶ浦総合開発事業では、一番利益を受けたのは、鹿島臨海工業地帯の企業で、工業用水道として作られた水の約9割を使用しています。しかし、その関係者は霞ヶ浦の水質浄化活動に一度も出てきたことはない上、その工業用水道料金は一般の工業用水の10分の1です。やはり霞ヶ浦を守るためには、鹿島臨海工業地帯に税金を課して、それを霞ヶ浦の浄化活動に役立てることが考えられます。逆に一番不利益を被ったのは、漁業者と市民及び観光産業です。漁民には補償金が支払われましたが、市民からは泳ぐ楽しみを奪い、観光産業は補償もなく壊滅的な打撃を受けました。例えば、天王崎では過去35万人の客がいましたが、現在は0です。もしも霞ヶ浦が泳げるようになれば、年間300億円近くの観光産業が盛り上がり、また漁獲量も上がります。その意味でも、「泳げる霞ヶ浦」を再生してほしいと思います。これを実現するためには、上流を蛇行した川に戻し泥が直接流れ込まないように、かつ下水道整備を100%にして無処理の水を流さないようにし、1〜2kmの大きな泳げるモデル水浴場を整備することを提案します。
村山: レンコンを土浦市活性化の起爆剤にしたいと考えています。具体的には、市内で県、市、園芸いばらき、JA土浦、旅館組合、市内の料理店等が参加し、レンコンフェアを開催します。また、現在、市内の料理専門家によって熊本のからしレンコンに負けないようなメニュー作りを行っております。土浦市の観光では、大規模自転車道が土浦市から潮来市までできるので、できれば南岸にも設置し、筑波線の跡地のリンリンロードと結ぶことでさらに魅力が加わります。さらに、土浦市の沖宿地区ではハス畑を中心に筑波山などが見られるすばらしい空間がありますが、ここで今後農業体験も含むグリーンツーリズム、エコツーリズムなどを主体とした観光が行われていくことが期待されます。また、霞ヶ浦周辺には様々な施設がありますが、航路で結び広域観光協会的な組織を設立して、霞ヶ浦全体の観光をひっぱっていけるような状況になることが重要であると考えます。
山根: これまでのそれぞれのテーマの議論から次の2点が見えてきました。一つ目は、人間活動を統合的な視点で判断していくことが大事である。二つ目はそれを考えていくための物差しを改めて考えてみることが必要である、ということで霞ヶ浦の恩恵を認識するということが一つの重要な物差しとなると考えると、その恩恵を端的に表しているのは漁業ではないかと思います。これはまた霞ヶ浦の物質循環を担っている産業でもあります。その意味で今後は「補償するので漁業は我慢しろよ」というような考え方を、転換していくことが重要であると考えます。同時にこれまで行われてきた砂利取り産業は見直しの時期に来ているといえるのではないかと思います。もう一つの物差しは、循環系の中で考える点です。産業を考えるとき、自らの中で循環系を満たしているかが重要な観点となります。このような物差しを基に、どうやって進めていくかというと、まず議論の循環系という面からみると、霞ヶ浦に関する様々な委員会がありますが、どの会もそれぞれの切り口で議論しているが、お互いのテーブルが切れているような気がします。今後、意見交換会で出された議論が如何に反映されていくのか後ほど説明をしていただきたいと考えます。環境創造ビジョンで椎貝さんが「互いのテーマは相反しているがどこに落とすのか考えなければならない」とおっしゃっていますが、その辺がまさに統合的な議論を必要としていることだと思います。その進め方としては、人と人とのネットワークが重要で、霞ヶ浦の景観を活かすこと、砂浜を作る、前浜を整備するなどを推進しながら、人のネットワークを構成することが重要だと考えます。
吉田: 霞ヶ浦のブラックバス釣りを芦ノ湖のように、観光資源化し、バス釣りの人が霞ヶ浦経済に貢献しやすい「ブラックバス釣り場霞ヶ浦」を目指していきたいとおもいます。ブラックバス釣り人から霞ヶ浦利用負担金を取り、漁業収入、水質保全、自治体の地域経済活性化などに役立てたいと考えています。また、霞ヶ浦航行のバスボートから霞ヶ浦浄化支援基金を徴収し、水質環境保護団体の活性化を図りたいとおもいます。以上のように、ブラックバスから得られる基金で流域市町村の物産を宣伝し、経済的な利益を誘導し、地域経済活性化と観光資源化を目指したいと思います。バス釣り人は利用負担金を支払う用意があります。今後は、霞ヶ浦を利用する人たちの意見も取り入れて、霞ヶ浦を整備していってほしいと考えます。一方で、人が立ち入れない場所も作る必要があると思います。なぜなら、そのような場所には健康な魚が育ち、私達は健康な魚を釣りたいと思っていると同時に、健康な魚が棲んでいる水であれば、誰もが泳げると思うからです。
石本( 代読):霞ヶ浦の漁業は不振であり、キャットフィッシュ、ブラックバス、ブルーギルなど外来魚の存在も大きな障害となっています。しかし、一方で、それらは食材として刺身、天ぷら、煮物、その他でもおいしくいただけます。その意味で、水産資源として見直してもよいのではないかと思います。私は釣りも観光の一つではないかと思いますので、漁業者と釣り人の良い関係を保ちつつ、最低限のルールを守ってフィッシングも楽しんでほしいと考えます。さらに、近年、湖畔の自然、名所・旧跡めぐり、アサザ、オニバス、ビオパークなどを見学したいとの希望が増えています。このように、自然再生に関心が高まりつつあり、行政、民間が力をあわせて、自然環境を再生しながら、清らかな水、清らかな霞ヶ浦を目指して生きたいと思います。
座長: それでは10分間の休憩をとります。

<  休 憩  >


意 見 交 換
座長: 以上で全員の話題提供が終了したので、これから質疑に入っていきます。まず水の利用者代表という立場から、県企業局の鈴木さんからコメントを頂きたいと思います。
鈴木: 水利用者の代表としてお話させていただきます。舟木さんのご意見は余りにも乱暴かなということで見直して頂きたいと思います。意見の中に立ち入るつもりはありません。鹿島工業団地の工業用水の料金が、一般の工業用水に比べ10分の1であるというのは非常に問題であり、実際の工業用水道料金は、36円80銭を頂いており、全国平均27円50銭と比べるとかなり高い料金となっています。なぜ高いのかといいますと、総合開発事業の負担金を支払っているからです。この負担金は県が代表して一括で国と契約し納め、一部補助をいただきながら、できるだけ安く工業用水を供給しています。同様に、水道、農業用水も同じ扱いです。したがって、県が統括しておりますので、利水者が直接表立ってこういう会議等に参加する形はとっていないので、この点をご理解、訂正をお願いしたいと思います。
座長: ありがとうございました。そのほか、小貫さんは方波見さんのお話に付け加えることがありますか。
小貫: 現在の漁業は大変低迷しておりまして、我々としても生態系をなんとか回復させて、少しでも多く魚を取りたいと考えています。そのため、用地的に難しい問題もあるようですが、魚道の設置をお願いして、魚を増やしていきたいと思います。また、アメリカナマズなどの有害魚の駆除を実施しておりますが、将来の有効利用も検討しております。
座長: ありがとうございます。それでは、本日のテーマ、観光、産業の活性化などの点について、ご意見のある方は挙手をしてください。
萩原: 江戸崎から来た萩原です。吉田さんからブラックバス釣りによる地域振興が提案され、また、一方生態系の再生あるいはエコツーリズム、グリーンツーリズムなどの対極の話題も提案されています。まず、ブラックバス釣りについて、漁業関係及び観光復活を唱えた方々はどう考えているのか知りたいのですが。
座長: なにが正しい正しくないではなく、現在対処されている立場だけから、今の質問について答えてください。
小貫: 吉田さんとは全く正反対であり、ブラックバスは、漁業者にとって非常に重要なエビ、ゴロなどを捕食してしまうので、平成6年ぐらいから年間5から10tぐらいづつ駆除してきました。その成果かどうかわかりませんが、現在は10分の1ぐらいに減少し、我々は喜んでいるところです。確かに釣りは今後共存していく必要があると思いますが、現時点ではブラックバスの駆除を進めていきたいと考えています。
座長: 吉田さん、ブラックバスが減少しているが、それを困ったことと受け止めるのか、現状のそういう推移の中でどう考えていくのかという点、また、キャッチアンドリリースかキャッチアンドイートかについてはどうかなどお答え願いたい。
吉田: 10年前ぐらいは漁業者の方の駆除には腹が立ったが、生物多様性などが叫ばれた現在、ああそうかと思い、漁業者の方の駆除には文句は言っていません。ただ僕らはしません、どうぞご自由に駆除してくださいと考えています。リリースかイートかは、リリースです。どこからかもって来るのではなく、もともといた場所に戻すのですから。また、釣りの楽しみは、そのプロセスが楽しいのであるので、釣った魚まで駆除しろと言われると、ちょっと心外ですが、漁業者が駆除するのには文句を言っていません。
座長: ありがとうございます。霞ヶ浦にいる魚の大部分は自然の生態のものではなく、いろいろな時代的背景を受けて現在がある。これが現在のように多面的に利用されていくると、社会的には許容せざるを得ない事情にあります。こういう状況の中でどうバランスを取っていくのかは未解決の問題である。これを解決するには、生態系を守ることが大義名分で正しいという発想はできるだけ避けた方がいい。現在は、生態系の仕組み自体が詳細に把握できておらず、議論がしにくいため、何十年ヵ後かにはもう少し深い議論をしていく必要があると思います。
萩原: 観光の観点で一言伺いたいんですが。
座長: エコツアーについてですね。エコツアーの意見も聞きましょう。大川さんに代表してもらいましょう。
大川: 私達の目的はエコツアーによって全国から霞ヶ浦に来ていただこう、目を向けていただこうとの狙いです。目的としては、我々だけで霞ヶ浦をきれいにするのは無理なので、自分たちの家庭排水の問題などを考えていただく人を、流域100万の人たちも含めより多く集めたいということです。また、水辺交流プロジェクトの目的は、水辺に関わる方々と交流するということです。
座長: 岩波さんも同じ考え方ですか。
岩波: 自然の生態系については理解力が不足しているので、発言は控えさせていただきます。霞ヶ浦に訪れる人の7割が釣り客であり、その内、かなりの部分がバス釣りになってきていると思います。WBSの吉田さんとの話し合いの中で、WBSは環境と調和しながらをモチーフに活動されています。また、そのような様々な団体との議論の中で、次の時代も楽しめ、色々な人々と調和していける姿勢を感じます。ゴミ拾いなど努力もされているので、今後の活動を見守っていきたいと思います。
座長: ありがとうございます。他に違った視点から意見がありますか。
升 : 升と申します。ブラックバスを釣る人からお金を取ると、1.8億円と推定されていますが、これは釣り人全員から取るのですか、または、バス釣りに来た人だけなのでしょうか。
吉田: 県水産事務所が何年かかけて調査した結果で、連休の天気のいい1日には1万人ぐらいが集まるということなので、大人1人500円、大学生、高校生は300円、その他は無料として、平均300円ぐらいかなということで算出し、これはバス釣りの人だけです。
升 : 集金する方法は考えているのですか。
吉田: 是非水産にかかわる方にしていただくと、釣り人とのコミュニケーションもよくなるのではないでしょうか。
升 : 漁業収益的ですと、漁業組合はこの提案を受け入れる姿勢はどうですか。小貫さん。
小貫: 現段階ではいろんな漁業法上の問題もありまして、霞ヶ浦では遊漁関係からはお金はもらえないということです。以前から吉田さんから提案をなんども聞いておりますが、現段階では漁業関係者から、いろんな意見もありまして、受け入れる姿勢はないです。
升 : 県の方では決まりとか条例とかで受け入れられないとかあるのでしょうか。
座長: 一般論でお願いします。
県(漁 政課):川の方では漁業法に則って、漁業権のある漁協が遊漁規則を決めて、それに則ってお金を取るという手段があります。ただ、霞ヶ浦では、河川と同じ共同漁業権の制度はとっておらず、海と同じ制度ですので、法的にお金を取ることはできません。
升 : ブラックバスについては、もし漁業権のある桜川で釣りをした場合には、入漁料は必要なんじゃないでしょうか。
座長: 県の方お願いします。誤解があるかもしれないので。
県(漁 政課):内水面河川では、それぞれ魚種が決まっており、その魚種をとる場合支払うことになっています。
升 : ブラックバスを目的とした場合は必要ないが、桜川で釣りをした人の場合、特に、何の魚を釣りたいという目的が無いときは、お金は必要である、ない、どちらでしょうか。
県(漁 政課):ブラックバスそのものでは、おっしゃるとおり必要はないでしょう。ただ、今は桜川にどのような漁業権魚種があるかという詳細な資料を持っていないので、答えられませんが、漁業権の対象になっている魚種についてお金を支払うのが前提となっています。また、漁場環境保全などのため、お互いに納得のうえで協力金を払ってもらうということはあるようです。
升 : ありがとうございました。
座長: 霞ヶ浦は漁業権からみると河川ではなく、海なんですよね。我々もこの手の話は不勉強なので、今後も勉強していきたいと考えます。その他にありますか。
植田: 阿見から来た植田です。意見交換会の集約の仕方について、意見交換で出された意見や目標を、今後どう対応しどう処理していくのか、国と県に聞かせてもらいたいと思います。
座長: 霞ヶ浦を良くしようとする目的は一致していても、それぞれのご意見があり、まず国、県はいろんな意見を聞いてみて、それをある程度まとめてみる。それを、どう詰めていくかは、これから先の問題だと思います。また、言いっ放しで終わらずに、現在がどういう状況にあるのかわかってきてから、その話を踏まえてさらに詰めていかなければならないと思いますが、そういう意味では次年度以降も個々の具体的なものについて、煮詰めた話を続けていくことであろうとは考えます。
 この点について、事務所長に伺います。
所長: 会の主旨は資料-2にも示していますが、意見交換会で出た意見は、今後のよりよい管理に生かしていきたいと考えています。また、今後河川整備計画をまとめる際には、皆さんの意見を参考として行きたいと考えております。
座長: とりあえず今のところはこれでよろしいでしょうか。
植田: 今の説明の主旨で満足しておりますので、ありがとうございました。
吉岡: 牛久の吉岡といいます。過去5回は出席できませんでしたが、本日参加して非常に活発な意見が多くてよいと思いました。私の提案ですが、将来の参考として、街づくりの面から、資料がいっぱいあった方がいいだろうということで、国、県の方からこんな資料があるよとか資料集の形で、今後各市町村に提示していただくとよりよい未来が待っているという感想を持ちました。よろしくお願いします。
座長: 国の方では仕事の分野が異なるので、県からコメントを頂きたいと思います。
海野: この会で貴重な資料も提出され、ご意見も頂いていますので、いずれ第7回以降まとめられれば、資料等は関連39市町村、他にも83市町村に提供しながら、よりよい県づくりに努めてまいりたいと考えます。
座長: ありがとうございます。霞ヶ浦の創造ビジョンもこういう性格のものであり、将来の問題として提起されているもので、社会の芽として見て頂くのがよいかなと思いますし、関連している方々も励みになるのではないかと考えます。
山根: 議論の循環系ということで、議論の輪を是非形成してください。霞ヶ浦に係る各委員会がありますが、河川整備計画を形づくる上で相互に情報交流をするようなことが今後あるのでしょうか。この中の、霞ヶ浦利用検討会は情報パンフを作成して終わったのかどうか教えてください。勝田さんに伺いたいのですが、霞ヶ浦に負荷を与えない産業とはどんなことをお計りになるのですか、簡単で結構ですのでお願いします。
座長: 会はそれぞれの目的に沿って行っており、そこから逸脱することはできません。各会の主催者は国、県であるが、お互い、常に接触を保っています。こんな状況だと思うのですが、事務所長、河川整備計画との係わりについて説明してください。
所長: いろんな会がありそれぞれに目的がありますが、河川整備計画には各会の検討エキスが将来生かされることになると思います。水面利用研究会は、H13年度に3回の会議をやって、情報マップを作成して現在は一段落となっています。
座長: 私の経験では、行政の検討会は単年度予算や検討内容によって、端からきっちり片付けていきましょうと言うようにはいかない場合が多いのです。他にはないですか。勝田さんのお話はゼロ・エミッションということだと思います。他にありませんか。
大川: これはお願いですが、霞ヶ浦を知ってもらうためにはPRが必要だとおもいます。そのためには、県の対策課と観光物産課、各市町村間が、一緒に話し合える体制を構築してほしいと思います。
座長: これは県への要望ということで伺っておいてください。
吉田: お願いなんですが、駆除するのはかまわないのですが、事務所、漁業組合で駆除、駆除とあまり言われますと、釣り人が平気で魚を草むらに捨てて、腐り異臭を放ちます。どうかあまりおおっぴらに駆除駆除と言わないでいただきたい。
座長: これは観光も含めて大変大きな問題です。死臭が臭い他、魚が富栄養化を助長することにもなるので、どうマナーを考え、実行していくか非常に重要な問題です。こういう問題は、民間から役所に協力してもらう方向しかないと思うが、これをみんなで考え意見交換しながら、やっていく必要があると思います。そして、そのためには、人と人との出会いが不可欠でありますので、この会も利用してますます意味のある会にしていきたいと思います。本日は時間の関係上、皆様から特に大きな問題がなければ、この議論は終了させていただきます。

水位運用試験について
座長: 事務所の方から、今後の霞ヶ浦の水位運用試験について皆さんのご理解を賜りたいと申しておりますので、それでは事務所長お願いします。
所長: 水位運用試験案について、さる8月4日にダムフォローアップ委員会霞ヶ浦部会に河川管理者の考え方の一つとして、利水の条件を満足しつつ、水辺の植生保全も図られる案を説明させていただきました。本日は同様の内容を説明させていただきますので、後ほどご意見を伺いたいと思います。それではパワーポイントの画面で説明させていただきます。霞ヶ浦開発事業はYP+1.3mから0.0mまでの水深1.3mを容量として、新たに毎秒42.92m3の水利用を可能とするものです。霞ヶ浦開発事業の完成に伴いまして、平成8年度からの水位管理は、霞ヶ浦の周辺環境に配慮して、植物の生育期、開花、結実期である4月から10月中旬までは YP+1.1mまで水位を低下させて管理を行ってきました。平成10年度の実測水位を示します。霞ヶ浦の水位は、降雨による上昇と常陸川水門の操作による低下を繰り返しながら管理されております。霞ヶ浦の水位は、一定ではなく、気象条件により日々変動していることがわかります。水位運用試験につきましては、霞ヶ浦を中心とする地域産業、私たちの生活を守る各種用水の確保と湖の水辺環境との共存を模索するために行うもので、2月から5月までのある時期の短期間に降雨の力もかりてYP+1.3 mを確保することを目標にしまして、それ以外の期間につきましては水位を低下させておく試験を行いたいと考えております。なお、その期間や時期につきましては、専門家の方々等にご意見を伺って決めてまいりたいと考えてございます。簡単ですけれども、画面を見て、こんなイメージで考えておりますということで、よろしくお願いしたいと思います。以上でございます。
座長: 水を供給する立場でその責任を持っている水資源公団の方は説明ありますか。
遠藤所 長:事務所長の説明に、補足説明をさせていただきます。水供給と水辺環境の共存を目的に試験をやっていきたいということです。水供給とは人の生活を支える水という意味で、水辺環境とは、湖岸の動植物等の環境保全という意味です。平成8年から11年まで管理しました時の冬の水位はYP+1.3mでしたが、現在水供給が逼迫していないのだから、水辺環境に配慮した方がよいとの指摘を受けました。私どもも水辺環境に影響が無いような形で、取水を行うことができるかということは非常に大切なことです。それではなぜYP+1.3mが必要かというと、春先から取水が開始される農業用水や、常に取水されている工業用水、水道水の安定供給のためには、大口の農業用水の取水が始まる前には、水位を高くキープして水量を確保しておく必要があります。春先に水位が確保できるとその後の夏場の渇水にも責任が持てるということです。また、4月〜10月については植生の保全のために、YP+1.1mのところまで下げて管理し、さらに、冬の水位ももっと下げてくれれば、より水辺環境保全によいということに対しては、私どもも同じように考えます。そのためには、霞ヶ浦の水を確保できる実力、を試験してみたいと考えています。近年ですと、夏場の渇水が多く、日本の平均で1800mm位ですが、霞ヶ浦周辺で1300mm位であったのが近年は1100mm位と少ない状況です。今であれば水需要に余裕があるので、この時期に、湖にどのぐらいの実力があるかを試験で見ておきたいと考えています。当然、皆さんの方に情報を提供しながら行っていきますが、水位運用試験のやり方については、今検討しているところです。霞ヶ浦開発事業での水の安定供給という立場からしますと、そのような水位運用試験をぜひやりたいと河川管理者にはお願いしているところです。以上が補足説明です。
座長: 質問等、今のお話に対して何かございますでしょうか。ご意見も賜りたいと先ほど所長が言われたので、ご意見でも結構です。
(会場からは特に意見なし)
要するに、冬は降雨が少なく春先に一斉に田んぼに水を引くため、それに備えて前から水を貯めておきたい。水を確保するには無理からぬことですが。そうすると冬場の水位が高いため、冬の強風により発生する波浪が湖岸のヨシをはじめ植生なんかはみんなやられてしまう可能性が高い。これも大変なので、ほどほどに植生を残しながら、水も使うなとはいえないので、どの辺まで水を貯めたり出したりしたらいいのか見てみる。実際は水位を上げるといっても、雨が降らなければ上がらないし、下げるといっても使うことで下げたり、海面以下にはならないので、具体的な範囲は非常に狭いのですが。そのような範囲で、人間がうまく水位を操作して、水辺のヨシや魚の棲みかなどもできるような前提で水も使う。これがうまくできるのがどのあたりかいろいろ試してみたいというのがこの試験のようです。私は勝手にそのように理解しています。それから、この試験というものは1年でやめたという話はないだろう、結果がでるまでは、いろいろ結果を出すようにデータを取ってくださいとは管理者にはお願いしています。ただし、まだそういう話が決まったわけではなく、いろいろと関係各部署と調整しなければならないんでしょうが、これから話を詰めていきたいということのようです。
以上、いかがでしょうか。よろしいでしょうか。
(会場からは特に意見なし)
では、本日は会場を借りている時間もありますので、このあたりで会議は終了させて頂きまして、マイクを事務局にお返しします。

その他の説明
司会: どうも大変長い間、ありがとうございました。
次回の第7回の意見交換ですが、11月中旬に開催したいと考えております。詳細な日程につきましては、会場手配の都合もありますので、追って皆様に新聞発表またはホームページでお知らせいたします。
 次回の環境教育・住民参加についての資料要望及び話題提供者の公募については、資料−11に記載してあります通り、資料要望をホームページ上で9月26日までに、それから話題提供希望者の公募は10月10日まで受け付けますので、ファクスか郵送でよろしくお願いしたいと思います。
 また、本日、お配りしましたアンケートにつきましては、受付で回収いたしますので、ご記入いただきますよう、ご協力をお願いいたします。
 それでは、以上をもちまして、第6回の霞ヶ浦意見交換会を閉会させていただきます。本日は、どうもお忙しい中ありがとうございました。



注:

本稿は、第6回霞ヶ浦意見交換会における意見交換の内容を要旨としてとりまとめたものです。
詳細な意見交換の内容が必要な方は、意見交換会事務局まで連絡を頂ければ速記録を公開いたします。




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