霞ヶ浦意見交換会


第7回霞ヶ浦意見交換会 議事要旨

日時:平成15年11月22日
場所:レイクエコー
参加者数:119名(座長、発言依頼者、話題提供者、行政含む)
議題:「環境教育・住民参加」について

参加者名簿(座長、発言依頼者、話題提供者、行政)
 
名前
所属
座長 前田 修 富士常葉大学教授(湖沼生態学)




磯山 正子
市村 和男
黒田 久雄
郡司 久 
鈴木 正光
高木 純子
椿  一則
濱田 文男
廣戸 京子
麻生町家庭排水浄化推進協議会会長
(社)土浦青年会議所理事長
霞ヶ浦研究会
(財)霞ヶ浦水質浄化推進振興財団事務局長
茨城県企業局工務課長
(社)霞ヶ浦市民協会副理事長
大好きいばらき県民会議事務局長
湖岸住民の会代表
巴川探検隊連絡会議会長




及川 ひろみ
高野 哲夫
沼澤 篤 
舟木 賢徳
前川 道博
山根 幸美
NPO法人宍塚の自然と歴史の会理事長
土浦市立宍塚小学校教諭
茨城県 環境アドバイザー
舟木環境経済政策研究所
東北芸術工科大学
土浦の自然を守る会

前村 良雄
海野 富夫
岡田 久司
嶋田 一郎
作間 忍 
横田 雅良

国土交通省関東地方整備局霞ヶ浦河川事務所
茨城県企画部
茨城県生活環境部
茨城県生活環境部
茨城県教育庁
独立行政法人 水資源機構 霞ヶ浦開発総合管理所

以下は主な議事

コイのへい死についての報告
 茨城県: コイのへい死状況について、現状の説明を行う。

コイのへい死と水道水についての報告
 県企業局: コイのへい死と水道水について説明を行う。

第6回.意見交換会議事結果の報告
 事務局: 第6回意見交換会 議事要旨、アンケート集計結果(資料-4、5)について、説明を行う。

環境教育・住民参加に関する基礎資料について
 国・県: 環境教育・住民参加に関する基礎資料として、パワーポイントによる説明を行う。

環境教育・住民参加に関する話題提供
座長: 続いて本日の話題提供者10人による意見発表をしていただきます。
時間がないので1人5分間の時間を厳守して手際よくお願いします。
市村: 経済成長優先で自然環境が破壊されたが、それを取り戻すには将来を担う子供たちへの環境教育が必要不可欠と思います。青年会議所では中学生向けの霞ヶ浦ジュニア会議2002イン土浦や小学生向けの霞ヶ浦キャンピングスクール2002を開催したように、毎年テーマを決め、身近な霞ヶ浦の環境問題に着眼し、子供たちに霞ヶ浦との触れ合いを通して環境教育を実践してまいりました。また霞ヶ浦という共有のフィールドを介して、子供たち、地域の方々、行政、霞ヶ浦関連団体などのネットワークをつくり、心のオアシス霞ヶ浦を目指していきたい。
及川: 私が属する宍塚の自然と歴史の会は、土浦市宍塚の豊かな里山をフィールドに「自然の学校」という小〜大学生を対象として、様々なスタイルの観察会を年100回以上開き、月1万4000枚のチラシを配って子供たち中心の環境教育を実施しています。例えば、里山の観察会、教室でのオニバス学習、休耕田の復元、田植え、レンゲ摘み、わら細工、ガマの葉細工、昔の遊び、ダンゴ作りなどがあります。当然ゴミ拾いもします。このような活動を紹介した本も出版しました。以上のような多様な活動の全てが環境学習であると思います。霞ヶ浦も含め里山での様々な活動を通して環境教育をぜひ広げ、市民活動のグループに参加して発展させていただきたいと思います。
黒田: 2000年から霞ヶ浦検討会の環境教育講座を開催し、学校の先生、地域の指導者を対象として、水質調査、魚の取り方、植生の見方など、専門家の知識を提供するリーダートレーニングを実施しています。環境教育の目的は、環境をテーマとしますが、子供たちに問題解決型能力を身につけてもらうことだと思います。また、環境教育というと、環境教育をするんだという焦りが強すぎて、自分たちの地域、地域の環境を見失っているように思います。例えば、学校ビオトープがありますが、学校の中だけでなく近隣の里山、休耕田などを活用して、ビオトープなどを作っていく必要があるだろうと考えます。このように、皆が参加していろいろな問題を考えられる場を作り、学校と地域住民、世代間などの交流を生むことによって、広い意味での環境教育ができると思います。
高木: 環境教育とは、いかに現在の環境を悪くせずに暮らしていくか、それを考えたり、知ったり、それから実践したりすることだと思います。実際には、自分の地域社会の自然環境と人の暮らしに目を向けること、実際自分の目で見て、触れて、体験することをし、環境を知ることから始まるのだと思います。例えば、今子供たちは霞ヶ浦の水が汚いというイメージが強すぎますが、そこから、実際霞ヶ浦の水に触れると、魚が生きている、魚が食べるプランクトンが無数に動いていることがわかる。このように実際自分で見ること、感じたことを基礎に、その地域を良く見つめることが環境教育じゃないかと思います。
 高野: 宍塚小学校での環境教育の取り組みは、地域の特色を最大限に活かすことを主体に、地域の自然、地域の人々との直接的なかかわりなどを通して、子供たちに地域の一員としての意識が生まれることを目指しています。その結果、自分たちの手で地域の里山を守っていきたいんだという子供たちの自覚も期待できます。また、環境教育では、例えば絶滅が心配されているオニバスを宍塚大池に戻す活動がありますが、観察記録を通して、試行錯誤を繰り返し、うまく植え戻すことができたときには、達成感が生まれ学習意欲を強めることができると思います。このように、地域の皆さん、市民団体と学校が連携していくことで、学校が再生できるのではないか、学校が変わっていけば子供も変わるし、地域も変わる、そして住民の意識が高まれば、地域を守る、より良い生活を目指すなどの気持ちが生まれるのだと思います。
沼澤: この意見交換会は平均140名程度の参加者があり、今非常に霞ヶ浦に関心が高まっている状況だと思います。霞ヶ浦総合開発事業など当時事業の大規模公共事業の意思決定に直接の利害関係者は入っているが、一般住民は参加していませんでした。それが、河川法改正、自然再生推進法施行、土地改良法改正などで一般市民の意見も聞かなければいけない状況に改善されました。今後、霞ヶ浦でも、今回の意見交換会の経験を引き継いで、たくさんの人が様々な意見を言い、聞くという場を定期的な制度として確立していく必要があると思います。税金をたくさん使う公共事業において、利害関係者だけでなく一般住民の意見も聞くような制度が確立されてほしいと思います。その場合、住民側でも霞ヶ浦の場合湖沼学などちゃんと勉強しておく必要があります。また、環境教育も重要です。ここに参加されている方々を中心に霞ヶ浦を大切にする霞ヶ浦市民社会というものを目指していくことが重要であると思います。
廣戸: 住民運動の担い手は子供たちであると思います。体験の中から、発見したことは自分自身が開拓したことになります。その体験は子供たちだけの体験学習だけではなく、大人と共に行うことにより、生きた住民活動の体験となることが重要なことだと思います。ただこの活動では、やる気を起す必要があります。例えば、巴川探検隊で源流を見たとき、子供たちが森が水を作るということを理解し、それでは森を作ってみようということになり、12月7日に源流に植栽することになりました。このような体験をした子供たちが将来住民活動の一員としてどう育っていくのか大変楽しみですし、うまくこの活動が子供たちに引き継げることを望みたいと思います。
舟木: 砂浜には水質浄化効果があります。しかし、河川事務所はその砂浜のある所に消波施設を作っている。消波施設を作ると波がなくなりこの浄化効果がなくなるのです。どういう思想でこの事業を実施しているのか、この点についてお聞きしたい。2番目には、砂浜作りの専門家が事務所にいるのかもお聞きしたい。また、このような大規模な事業をする前には、パブリックインボルブメントのように、住民の意見を聞いて進めて欲しいです。霞ヶ浦でもパブリックインボルブメントを実施してほしいと願います。
前川: かすみがうら・ネットの代表をしている前川です。「e霞ヶ浦」とは情報共有という視点からこれからの時代の霞ヶ浦を考えて行きましょうという知識の共有を目指した市民参加型ネットです。例えば、琵琶湖対霞ヶ浦をインターネット上の情報量で比較すると霞ヶ浦は琵琶湖の約1/8と少ないです。せっかくいい活動をしていても、情報が出ないとなかなか多くの人に理解してもらえない時代になっています。また、環境センター整備にともない行政の方で、大容量のデータセンターを作っていただき、デジタルなアーカイブを支援していただきたい。その活動の主体は市民がやって、地域づくりの活動としてやっていくのがよいと思います。また、環境学習等の情報発信をしていくことで、豊かな霞ヶ浦づくりができるのではないかと思います。
山根: 住民参加の方法として、1.研究機関の成果を情報として得る、2.環境センターの整備に向けた会合等に参加し行政に意見を出す、3.県の霞ヶ浦水質浄化プロジェクトに参加し情報を得る、4.導水事業の監査請求、裁判がある。
 環境教育への期待では、子供たち主体よりも現役世代の私達の姿が大事であると思います。また、人の意識と行動のネットワークづくりが重要であると考えます。さらに、様々な人間の活動が漁業にとって、プラスか少なくともマイナスを与えないものかということを、常に振り返りながら活動していくことが重要であり、これを物差しとして、豊かな漁業が霞ヶ浦で成立することを祈念して終わります。
座長: 以上で主な意見発表は終わりますが、資料の後ろに柏村・浜田さんの資料がついていますが、本日のテーマから少しずれるということで資料提供のみとさせていただいています。本日ご欠席の芳賀さん、山本さんの資料について事務局から説明していただきます。
芳賀( 代読):学校の休日に野外観察、室内試験、研究所見学などを行うサイエンス・キッズという活動を実施しているが、子供たちが幅広い様々な科学体験を重ねながら、視野の広い知識人として育つことを願っている。今後もこの活動を続けていきたい。
山本( 代読):環境教育は地球を取り巻く生態系の原理を理解する啓発から始めることが必要であり、人や生き物、また物が如何に大切かを理解できるような感性と人格の形成されることを望んでいる。また、次世代への継続可能な、持続可能な社会を構築するためにも、必要最低限の消費型社会への転換が必要な時期にきている。
座長: それでは、舟木さんの質問に事務所長からコメントをいただきます。
所長:           (PPによる説明)
  霞ヶ浦は非常に広く吹走距離が長く、堤防や周辺民家に被害を及ぼす波がしばしば発生します。強い波浪から堤防や民家を守るため、消波工は堤防への波を緩和させる目的で前に設置します。今年の7月に完成した波浪対策は、緩傾斜の採用、積極的な養浜の整備、消波工の矩形形状の解消、消波工高さ抑制による景観への配慮など、でき得る限り環境にも配慮して施工しましたので、ご理解いただければと思います。2つ目のご質問ですが、国交省は海岸も所管しており多くの専門家がおります。


意 見 交 換
座長: 以上で話題提供は終了しましたので、会場からご質問、ご意見を受け賜りたいと思います。
浜田: 導水を考える県民会議の浜田です。資料は出させていただきましたが、前にでられないので、ここでお話させていいただきます。
座長: 本日のテーマに沿ってお願いします。
浜田: そうします。10年前だったら話はできなかったでしょうが、今回意見交換会ということで、激しい意見も取り上げていただいて、感謝しますし、評価しています。ただ、次のステップとして、住民参加のあり方は住民の政策への参加の組織化をどうするかということだと思います。資料では、「円卓会議」という言葉を使っていますが、政策に市民が参加するそういう組織づくりを、重大な課題だけでいいですから、即刻作っていただきたい。歴史的にみれば、霞ヶ浦には霞ヶ浦四十八津という組織がありまして、その中で横並びでいろんなことを決めてきました。その復活ということで提案いたします。
座長: 浜田さんのおっしゃることをどう具体化するか、行政側もそういう気持ちはあると思うので、そのことについては最後に所長にお伺いします。
萩原: 江戸崎の萩原です。本日の話題提供を聞かせていただいて、本当に自分の周りから自慢できること、地域で特色のあることを題材にしている宍塚小学校のコンセプトは非常にいいなと思いました。
座長: あなたのお名前とよろしければご職業をお教えいただけますか。
萩原: 江戸崎の萩原と申します。環境省関係の財団に勤めています。これは質問なんですが、稲作をやっているとき、やっぱり除草、害虫という問題が出てくるが、どのように対応されているのですか。
座長: 及川さん簡単にお願いします。
及川: 私達は除草剤は全く使わず、田圃、蓮池などをやっています。近くに除草剤を使用した田圃があると、一目瞭然に生物の違いが出ますので、それも環境教育です。しかし、学校で子供たちに話す時には、農業がなりわいとして成立するためには、最低限の生物、環境に影響のすくないものを使わなければならない状況であると説明しています。
座長: ありがとうございました。その他ありませんか。
橋本: 潮来市の北浦の水をきれいにする市民の会の橋本といいます。私は北浦の飲み水について30年間も活動してきましたが、この会では北浦という言葉が出されないので情けなく思いました。現在、前川と北浦は汚水がものすごく入っています。その原因を調べましたら、合併浄化槽がちゃんと機能していなことがわかりました。県と国交省にお願いなんですが、北浦の飲み水を守るため、合併浄化槽の終末処理の仕方を条例でも作って厳しくやってもらう方法はないですか。
座長: 確かに霞ヶ浦というと北浦の影が薄くなるので、地域的不公平を生みやすいのも事実なので、意見交換会では、今回北浦に近いこの会場としたわけです。県の霞ヶ浦対策課にコメントいただきます。
岡田: 北浦流域は、汚れがひどくなっていると認識しており、浄化槽に対する補助金として新たに霞ヶ浦方式というものを設けました。BODだけの除去に加え、窒素、リンも除去できる浄化槽の整備により、北浦の水質浄化に役立てたいと考えております。一方で浄化槽のメンテナンスについては、茨城県は非常に悪く、設置後1年の検査後は、全県下で1割程度のメンテしか実施されておらず、全国的にも相当低い数字でございます。条例の制定については、各市町村のお考えもあると思いますので、橋本さんのご意見がそうであったと理解させていただくという形でお答えします。
座長: その他にどうでしょうか。
飯竹: 霞ヶ浦問題協議会の飯竹です。1〜7回までの意見交換会での提案、意見は今後どう活かされるのか、また、農業団体が全然来ていないのはどうしてか、お聞きしたい。環境教育では、小学生に理科を専門で教えるのは難しいと思うので、県で理科の専門の先生を置くことを教育特区などで考えてみたらどうかも、お尋ねしたいです。
座長: 県義務教育課お願いします。
作間: 例えば、学校教科担任制で理科の得意な先生が全クラスの理科を教えるような学校もありますが、全部の学校でやるのは現状では難しいです。
座長: 全部置くのは難しいでしょうが、そういうことができれば望ましいとお考えですか。
作間: 国の方でも学力向上フロンティア事業というものがありまして、検討しているところです。
座長: ありがとうございました。では、所長に農業関係者についてお願いします。
所長: 何人かにお願いしているのですが、都合がつかないのが実態です。
座長: 時期が悪いということもありまして、ご出席ができないようですが、ご指摘のとおり、この意見交換会においては、産業関係の生の声がいささか薄いと感じておりました。そういうところを今後是正していくべきだと所長の方にも申し上げておきます。
飯田: 石岡の自然を守る会で、まな板池というのがありまして、ヘラブナ釣りの方が主体で自然再生をしようということでやっております。近いうちに、市民フォーラムを国、県、市町村、また先生方のご支援を受けて実施したいと思うんですが、よろしくお願いします。これは、一つの宣伝です。
座長: このような活動が流域各所に現れて、それがネット等でまとまっていく。時間がかかるかもしれないけれど、当流域では望ましい方向ではないかと考えます。大変申し訳ないのですが、時間がかなり迫っています。今回で意見交換会は第7回ですが、2回でやり方を決め、5回で個別テーマをやってきました。このあたりで、言いっぱなしで終わらないように、今年のクールということで締めたいと思います。まず、今まで延べ80人ぐらいの方の意見もいただいているわけですが、これを事務局にまとめていただく。それをもとに、これまで意見を出していただいた方々を中心に、全体のまとめワークショップ的なものをやり、再度事務局がちゃんとまとめる。そこで、第8回を正月開けに実施し、総ぐるみの議論を行う。そのときは、行政からのこれまでの情報提供などなく、多くの時間を議論に使い、今年度の締めを行って、ネクストステップに進みたいと考えておりますが、ご賛同いただけるでしょうか。
(会場から拍手)
座長: ありがとうございます。そういうことでよろしければ、所長にお願いしたいのですが、どうでしょうか。
所長: 今座長から提案があり、会場の皆様からも拍手をいただきました。事務局としてもとりまとめていきたいと考えております。その上で、第8回を開催したいと考えております。今回まで延べ87名の方々が話題提供をされたのですが、膨大な人数ですので、直接本人にご確認させていただきながら、意見の取りまとめ作業を進めまして、皆様に8回目以降を提案するという形で、2月前後にプレ会議のようなものを開催してやっていきたいと思います。よろしくお願いします。
 座長: ありがとうございました。それでは、10分間ほどトイレ休憩を入れます。

<  休 憩  >

そ の 他

水位運用試験
 座長: 事務局から訂正の説明があります。
司会: 柏村さんのお名前が間違っておりました。訂正します。
座長: では、まず、当面の水位運用試験、湖岸植生帯緊急対策工評価検討会について、事務所から説明があります。
 所長: 水位運用試験については、第6回にもご説明いたしましたが、ご意見をいただければと思います。水位運用試験は、地域産業、生活を守る各種用水の確保と湖の水辺環境との共存を模索するため行うものであり、2月〜5月までのある時期の短期間に、降水の力も借りまして、YP+1.3mを確保することを目標にしております。それ以外の期間につきましては、水位を低下させて試験を行いたいと考えております。その期間や時期は、専門家等のご意見を伺って決めてまいりたいと考えております。
 座長: 要するに、昔は2月〜5月までずっと1.3mを維持してきたが、どこかで1.3mに達することはあるけれども、そのほかの期間は水位は1.1mに下がっている。そういう形で冬を越して管理してみて、水が足りるか足らないか、どのぐらい雨が降ったら、水がどのくらいたまるのか。どのくらい水位が上がったら、どのくらい湖岸植生帯にダメージが及ぶのか及ばないのか、そのあたりを見ていきたいというようなことです。ご意見はございますか。
鈴木: 石岡の鈴木です。1996年に冬の水位操作を始めてから4〜5年のうちに、アサザがほとんど霞ヶ浦から姿を消しました。それなのに、また水かさを4月から増やすというんですが、本当に必要なんでしょうか。また新たに植生帯がなくなるような気がします。
座長: 植生の保全と水源の確保はお互いどこまで我慢できるかというところを、ゆっくり探っていかなければならないと思いますが、所長どうでしょう。
所長: 現在、計画では42.92tの水利用に対して、約39tの水利権許可が出ています。遠く将来ですが、県からも水需要が満了になることを聞いています。今、少し余裕がある間に、自然現象、降雨等の力を借りて、一時的に時期を2月〜5月の間植生への影響が最小になるような時期を見出して、1.3に上げる試験をやってみて、霞ヶ浦にどのような影響が出るか、モニタリングも合わせてやっていきたと考えています。
座長: 本来なら1.3でずっとやっていくのが決まりだが、上げるところでは上げるけれど、できるだけそうじゃないところで下げておくこともやってみようという逆提案とも読め、その意気込みは評価できるだろうと考えていますが。
山根: 基礎資料の要望でも書いたんですが、1.短期間上げるというのは最小何日ぐらいあれば、その後の水需要に間に合うのか、2.専門家の判断とはどの委員会でするのか、3.試験年数はどのくらい必要なのか、4.植生帯への影響ですが、どの程度までなら許容範囲と考えて実験をするのか、以上の質問をお聞きしたい。
座長: 4番目については私は、どういうところまで我慢できるのかという見方、立場によって違うと思います。植生を最優先させ洪水が起こってもいいことは、住民は許容できないでしょう。大多数の人間、興味を持った人間がどういう状況であれば許容するのか、これは作り出してみないとわからない。試験は比較的長期間続けていただいて、この冬なら冬の状況を見ていただく。皆さんが見て、その結果何が起こったかわかるでしょうから、そこで都合が悪い点、良くなった点などを出して、その折り合いのところを探すという仕事をお願いしたいと考えます。
所長: 1番目の最小何日かということですが、上げる時期によって変わると思いますが、1日か、1週間かですが、最初は非常に少ない日数で結構だと考えております。2番目の専門家の件ですが、前田先生、その他植生の研究をしている方などに、すでに何人かにはお伺いして、植物の発芽時期ははずして欲しいとかご意見をいただいておりますが、お聞きして決めていきたいと思います。3番目ですが、試験は数年になるだろうと考えています。4番目の許容範囲は、植生が短期間上げた場合どうなるかも見てみたいと考えます。ただ平成8年4月から運用したとき、約10〜15%の植生の減少があったというデータもあり植生はなるべく減らない方法で実施したいと考えます。
座長: そういうことで、水を使う方の危険がないレベルで試験をすることは了承せざるを得ない。この前提を受け入れつつも、一方、重要な植生、植生だけでなくそれに関連する魚などもありますが、このあたりのあり方というのを、今後霞ヶ浦はどうあるべきか、根本的に探っていただきたいということであります。みなさんも水位運用試験中に、霞ヶ浦でいろいろなお気づきの点を是非連絡していただきたいと思います。所長、電話があってもいいですね。
所長: もちろんです。


霞ヶ浦湖岸植生帯緊急対策評価検討会の説明
 座長: みんなにとって何がいいか別にして、よい霞ヶ浦を作るということでは、官民一致していくことが大切だと考えますので、よろしくお願いします。では、緊急対策評価検討会についてお願いします。
所長: 情報提供でございますが、平成12、13年度に霞ヶ浦湖岸植生帯緊急保全対策を11地区で実施しました。今般、モニタリング調査結果に基づきまして、事業評価を行うことを目的として、10月20日「霞ヶ浦湖岸植生帯の緊急保全対策評価検討会」を発足させていただきました。委員会は、日本河川協会会長の椎貝先生を座長とする6名の方々にお願いしまして、客観的に科学的評価をいただくこととしております。今後2回目は来年1月に開催する予定で、ホームページなどでお知らせいたします。
座長: 私も相談を受けたのですが、今まで対策工に係ってこなかった方々で、日本で広い知識をお持ちの専門家の方々に、第三者として客観的に評価していただくことを提案しました。工事の方法が妥当か、やり方、工法的な問題、費用面とか、工事が植生帯の保全に役立ったのか、更に良くするにはどうするかなどを評価していただくという考え方です。事務所としては、この結果を受けて、情報を公開し、その意見を受け、次のステップに進みたいということですね。
所長: そうです。


意見交換会の今後について
 座長: それでは、一番初めに話があったように、今後のこの会のことですが、時間の関係もあり、何となく今まで消化不良で来ているところがあるんですよね。で、1回締めさせていただいて、これまで出てきた意見を参考に少なくとも今後の施策を考えていただく。その手立てについての考え方を説明してください。
 所長: 先ほど第8回目までのお話はしました。今年度まとまったご意見、ご提案は、今後の霞ヶ浦の日々の管理や今後策定する予定の河川整備計画の原案に役立ててまいります。第9回目以降については、時期的なものは現段階ではわかりませんが、今後の河川整備計画の骨子などの情報提供、また意見交換を行う場として、私は有効に活用したいと考えておりますので、ご支援、ご協力をよろしくお願いします。
座長: 法的な形として河川整備計画がありますが、利根川水系の計画を作ると同時に霞ヶ浦でも基本計画が必要となってきます。その計画の原案は国が作るが、そのときこれまでの意見を参考にしながら作成していただき、結果は提示される。それに対して学識経験者等も意見を言うが、住民の側でも正式に公聴会等で意見を言う。このように整備計画を作っていく上で、法的手続きで定められた住民の意見を聞くという手続きに、この意見交換会を適用していだたくという形で、今後、こうした会を続けていく。一方、ご意見の中には、それ以外に事務所なら事務所レベルで日々の業務として処理できる話もあるだろう。これについては、可能な限り検討の上、実際の施策に生かしていっていただく。意見交換会は定期的な開催とはいえないが、このような形でしばらく続けていってもよろしいということになるのでしょうか。
所長: はい。河川整備計画の手続きには、公聴会等での住民の意見の反映というように住民参加の場があります。まさに今回7回まで様々なテーマで皆様から意見、提案をいただいています。それを素案として原案を作っていくことになりますが、まだ時期はわかりませんが、その原案を作っていくときに、また皆様のご意見をいただくという場にこの意見交換会等を是非活用していきたいとの趣旨でございます。


その他の意見交換
 座長: よろしいでしょうか。この際どうしてもという方はいらっしゃいますか。
舟木: 波浪対策のために消波工を作るという説明でしたが、沖からずっと浅瀬を作れば波浪が来ないでしょうし、住民が後ろに後退すればその被害も出なくなるわけです。いろいろ対策があると思うのですが、どんどん住民から意見を聞いてやっていただきたいのです。
座長: 浅瀬を作るということですが、相当な砂の量が必要になるため砂をどこから供給するのかや、住民に移転を強要することは少なくとも現在の法体系を全部ひっくり返さないとできないなど、可能なことを考えた上でご発言願いたい。
所長: 先ほどからご説明いたしましたように、治水対策という大義で、いざ台風で堤防が崩れてしまう、濁流が民家に及ぶことなどないように、事前に作ってございますので、ぜひご理解願いたいと思います。
座長: 他にありますか。
橋本: 私はこの機会に是非、北浦全部の町村長、女性団体、家庭排水協の人たちを集めて、北浦の様々な問題を討議していただきたいと思います。
座長: 県の方でコメントはありますか。
岡田: 霞ヶ浦問題協議会の中には、いろんなブロックがありまして、・・・・
橋本: 今日は北浦は一人もでてきていませんよ。連絡しているんですか。
岡田: 呼びかけはしておりますが、橋本さんのご意見も反映していきたいと思います。
橋本: 一つも集まらなければ何にもならないでしょう。大事な私らの飲料水なんですよ。
座長: 霞ヶ浦問題協議会という名称がけしからんかもしれません。地元用語にすれば、霞ヶ浦・北浦問題協議会かもしれない。
橋本: そうです。
座長: 霞ヶ浦とはなにを指すのかは、非常に厄介な面を持っているので、このことはお互いに認識して頑張る必要があります。
橋本: 死活問題ですから、私達には。
座長: 県の方も努力していますね。ということで、他にはありますか。
宮本: 霞ヶ浦町の宮本ノブオといいます。米のとぎ汁をそのまま流せば水は汚染されるでしょう。所長
所長: はい、汚染されます。
宮本: ところが、米のとぎ汁を発酵させると水はきれいになるんです。
座長: いろいろ細かい問題は、重要な生活、産業のやり方でいろいろ工夫はあり得るので・・・・・・
宮本: もう一ついい話を提供します。比嘉先生と九州地区の石鹸屋さんが開発した使えば使うほど水がきれいになる石鹸のカタログを所長と橋本さんに渡します。
座長: ありがとうございました。そろそろ時間がまいりまして、個別の意見交換はホールなどで行っていただくことにしまして、誠に申し訳ございませんが、このあたりで締めさせていただきます。


閉会の挨拶
 司会:

どうも大変長い間、ありがとうございました。
次回の第8回の意見交換会ですが、2月ごろに開催したいと考えております。詳細な日程につきましては、会場手配の都合もありますので、追って皆様に新聞発表またはホームページでお知らせいたします。
 また、本日、お配りしましたアンケートにつきましては、受付で回収いたしますので、ご記入いただきますよう、ご協力をお願いいたします。
 それでは、以上をもちまして、第7回の霞ヶ浦意見交換会を閉会させていただきます。本日は、どうもお忙しい中ありがとうございました。




注:

本稿は、第7回霞ヶ浦意見交換会における意見交換の内容を要旨としてとりまとめたものです。
詳細な意見交換の内容が必要な方は、意見交換会事務局まで連絡を頂ければ速記録を公開いたします。


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